インチの話
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建具の専門用語としてバックセット(略してBS)というものがあります。これは戸の先端から錠(シリンダー・サムターン)の中心までの距離のことを指します。
ドアで51mmが標準ですが、38mm、64mmなども存在します。30mm、60mmなどもないわけではありませんが、なぜこのような中途半端に思える数字なのかといいますと、それはこれらがインチだからです。
38mm = 1.5 inch
51mm = 2 inch
64mm = 2.5 inch
よく指摘されるように日本の建具は引戸の文化であり、開戸(ドア)という概念が乏しかったため、ドア金物に関しては欧米の寸法が浸透しているわけです。
そのため、同様に丁番の長さも標準的な 102mm = 4 inch というふうにインチ寸法に従うものが多いです。
つまり、他国の文化が導入されるということは、見た目の話だけでなく、その背後にある言葉や寸法といった目に見えない概念まで導入されることを意味しているわけです。