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クローザーの話

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少し前に京都のお寺でとてもアナログ(?)なドアクローザがありました。写真を撮り忘れてしまったのが惜しまれますが、理屈は単純で裏口の外部扉の板戸に後付で板を打ち付けてあり、鴨居からは鎖が垂れ下がって建具の打ち付けた板にかかっています。ドアを開けて手を離すと鎖の自重で扉が閉まります。鎖の重みを変えることでスピード調整もできますが、現代のドアクローザのようなストップ機構(任意の角度で扉を開けたままにしておく)ことはできません。

最近は特に吊戸やスライド丁番の建具ではソフトクローズ(ゆっくり自閉する)が標準化しつつあり、昔のように建具の開け閉めでバタンバタンと音が出ることのない住宅も少なくありません。しかしながら、逆に急いでいるときでもすぐに閉まらないであるとか、開けるときに少し力が必要――といった点があるのも事実です。

建具の歴史は一面では軽量化の歴史でもあり、日本の障子や襖は素材に紙を用いることでそれを実現しているわけですが、近年は金物によって軽さや使い勝手を向上させる感じが強くなっています。この傾向は今後も続くと思いますが、シンプルな納まりと機能性をどう使い分けるかは難しいところです。

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